生活保護の記事

一本の電話

2023年夏、一本の電話を受けました。以前取材でお世話になったAさんからでした。互いに近況を話し合った後、Aさんがこう切り出しました。「実は自分は、生活保護を受けているんですが、障害者加算というのを止められることになって。秋田市のミスらしい...
ジェンダー

女子と男子の開きは68年

〈県人寮の67%が男子専用 深刻な男女格差〉というタイトルの記事をSNSで目にしました。 「県人寮」は、地方から首都圏の大学に進学した学生を受け入れる寮。道府県の育英会が運営している例が多く、地元出身の学生のみが入居できます。ここに深刻な男...
コラム

これ以上、奪わないで

DV被害当事者を支援している民間団体の講座に参加しています。講座の前半を終えて思ったのは、絶えず「新しい言葉」を得ていかなければいけない、ということでした。誰かを傷つけないために。〈※このコラムの1、2には、性暴力に関する記述があります〉言...
ジェンダー

あなたは、なぜ名乗らずにいられるのか

地方紙の記者だった数年前、原稿に書くのをためらった言葉がありました。「シスジェンダー」と「ヘテロセクシュアル」です。広く知られた言葉ではないから――という理由でした。 「性的マイノリティ」「LGBT」という言葉を書く機会は年々増えていったの...
生活保護の記事

この不安は、市民全体の不安でもある

6月18日、秋田市議会本会議の一般質問が行われ、2人の議員が生活保護費の返還問題について市側の方針を問いました。「生活保護利用者に返還(返済)を求めないことはできないのか」「当事者を追い詰めているのではないか」。2氏は質問を重ねましたが、秋...
ジェンダー

「虎に翼」ーわたしたちの物語に出会えた

なぜ、こんなに心を動かされるのだろう。NHKの連続テレビ小説「虎に翼」を見るたびに考えていました。これまで好きなドラマに抱いたものとは異なる感覚が湧いてきます。それは「味方になってくれている」という心強さのようなものです。 そう感じているの...
コラム

女性は道具ではない 

「若い女性の定着が重要」「若い女性の定着回帰を目指す」—。人口減少への対策としてこのような言葉を見聞きするたび、違う、そうじゃない、と強く思ってきました。6月5日、厚生労働省が2023年の人口動態統計を発表し、秋田県は出生数が「ワースト」と...
ジェンダー

同性カップルの続柄 現時点では「同居人」のまま 秋田市と潟上市

長崎県大村市が男性同士のカップルに交付した住民票の続柄に、事実婚関係の異性カップルに用いられる「夫(未届)」と記載していたことが5月27日にニュースになりました。家族として暮らしていても、同性カップルはこれまで「同居人」と記載されてきました...
生活保護の記事

メンツか、人権か

秋田市が生活保護費の障害者加算を長年過大に支給し、精神障害のある生活保護利用者117世帯(120人)が障害者加算を取り消されたうえ過去5年間に受け取った障害者加算の返還を市から求められている問題で、当事者の一人であるAさんが実は誤って加算を...
生活保護の記事

「0円決定」の陰で 新たに生じる格差

長年にわたる役所のミスで過大に支給されてきた生活保護費の「障害者加算」を、精神障害のある生活保護利用者が返還(返済)しなければならない。役所から示された返還額は多い人で約149万円—。 秋田県秋田市で2023年5月にこのような問題が発覚し、...
ジェンダー

「2人が幸せなら」を超えた日

「結婚に対する考え方が、若い時とはずいぶん変わりました」。仙台市に住む小浜耕治さん(61)はこう語ります。 小浜さんには男性のパートナー(79)がいます。出会ったころは「一緒に暮らせるだけで幸せ」と思っていました。しかしその思いは、年を重ね...
ジェンダー

性的マイノリティが地方で働くということ

地方で暮らす性的マイノリティは、就職活動や職場でどのような困難に直面しているのか。東北でのアンケート調査を基に考えるオンラインイベントが4月13日に行われました。調査から浮かび上がったのは、「男女」の性別二元論や異性愛を前提としたルールがあ...
生活保護の記事

「間違いではありません」

5カ月間、生活保護の「障害者加算」(障害があることによって余計にかかる生活費を補うため支給されるお金)を誤って止められていた秋田市のAさん。その原因は、秋田市が把握していたAさんの「初診日」が誤っていたことにありました。(詳しい記事はこちら...
生活保護の記事

初診日に振り回される

秋田市で起きた生活保護費(障害者加算)の返還問題は一進一退の状況です。(最新のニュースはこちら) ミスに対応する中で、新たなミスまで発覚しています。 取材して見えてきたのは、精神障害への差別ともいえる国のルールです。障害者加算を受け取れる世...
生活保護の記事

返還額「0円」に 秋田市、当事者の一部に救済策 

秋田市の生活保護費問題が大きく動きました。 精神障害のある生活保護利用者に市が28年間にわたって障害者加算を誤って支給し、過去5年分の障害者加算を当事者に返すよう求めていた問題で、秋田市が複数の当事者の返還額を0円にしたことが判明しました。...
コラム

「観光レディー」もうやめませんか

2月29日、秋田市の市政だより「広報あきた」が自宅に届きました。 表紙には「ミルハス」という秋田最大の芸術劇場で映画祭がある、という告知が載っていました。いろんな俳優や監督が秋田に来るんだな…と思いながらページをめくり、こんな募集記事が目に...
コラム

「体冷やすと、子どもを産めなくなるよ」

秋田の冬はとにかく寒い。「体冷やさないようにしないと。子ども産めなくなるよ」。10代から20代にかけて、そういう言葉を何度もかけられた。記憶があいまいではっきりとは言えないが、1976年生まれの私が中高生くらいの時にはもう耳に入っていたよう...
生活保護の記事

1万6620円の重み

この記事のタイトルをどうするかで少し、悩みました。 精神障害があり、生活保護を利用している当事者の一人が話した「1万6620円というお金の重さ」をタイトルにするか。それとも「カピバラの湯っこと市長の謝罪」にするか。「カピバラの湯っこと市長の...
ジェンダー

「痛みを失ったら終わり」 議員になって、見えたこと

先日、ある研究者に「秋田県は女性の人口流出がとても多く、研究者の間で非常に注目されている」と聞きました。そんな秋田で1月、県議会や市町村議会の女性たちがつながり「秋田県女性議員ネットワーク」を立ち上げました。 秋田県の全議員(県議と市町村議...
生活保護の記事

本当に8100万円? 秋田市の「返還請求」に3つの疑問

分かりにくい制度のなかで、ひっそり事が進み、弱い立場の人の暮らしがいつの間にか、ますます困難になっている。ほとんど関心を持たれないままに。今回の記事は、そのような現実について書きました。 秋田市で起きた生活保護費の「障害者加算」の支給ミスを...
生活保護の記事

どちらの人も救われるには

この記事で伝えたいこと なぜ一人は救われ、もう一人は救われないのか。 生活保護の現場で、国の決めた「ルール」が矛盾を生んでいます。それは、精神障害への差別ともとれるようなルールです。 このルールに対して、生活保護の利用者だけでなく地方自治体...
さまざまな記事

「雇い止めをなくしてほしい」 非正規公務員Kさんの声

「会計年度任用職員」を知っていますか。自治体などの公的職種で働く非正規の公務員です。正規職員と違って雇用に限りがあり、任期は最長1年、更新は2回まで(3年間)とする自治体が少なくありません。保育士、学童保育指導員、女性相談員などさまざまな職...
ジェンダー

マイノリティの声に、耳をすます 3

生まれたときに割り当てられた性別とは、異なる性自認を生きる「トランスジェンダー」。その人権を傷つけるような言説がSNSを中心に起きています。たとえば秋田県内では、一部の議員がトランスジェンダー女性への偏見につながるような発信をSNSなどで繰...
ジェンダー

マイノリティの声に、耳をすます 2

生まれたときに割り当てられた性別とは、異なる性を生きる「トランスジェンダー」。その人権を傷つけるような言説がSNSを中心に起きています。たとえば秋田県内では、一部の議員がトランスジェンダー女性への偏見につながるような発信をSNSなどで繰り返...
ジェンダー

マイノリティの声に、耳をすます 1

生まれたときに割り当てられた性別とは、異なる性を生きる「トランスジェンダー」。その人権を傷つけるような言説がSNSを中心に起きています。たとえば秋田県内では、一部の議員がトランスジェンダーの女性への偏見につながるような発信をSNSなどで繰り...
ジェンダー

なぜ女性たちはつながるのか

秋田県内の女性議員がネットワークをつくり、1月25日に秋田市で初回ミーティングを開きました。なぜ今、女性の「つながり」が必要なのか。女性議員の声をもとに、考えたいと思います。偏っていることに、慣れ過ぎている まず、数字で現状を見てみます。秋...
生活保護の記事

まるで「罰」のような申請主義

いつ、秋田市から「返還のお知らせ」が来るか分からない。毎日、びくびくした気持ちで過ごしている――。 生活保護費の「障害者加算」の過支給について、返還(いわれなき「借金返済」)を求められている人の声です。【これまでの経緯】秋田市は1995年か...
さまざまな記事

小さな紙に思いをのせて 「ZINE」を作る人たち

ちいさな本「ZINE(ジン)」をつくるワークショップにおじゃましました。会場は秋田市の旧松倉家住宅。講師はライター・編集者の南陀楼綾繁(なんだろう あやしげ)さんです。4回つづきのワークショップなのですが初回と2回目を逃してしまい、1月21...
さまざまな記事

「睡眠薬をお守りに、学校へ向かう」 ある小学校の先生の声

今年の初め、ある小学校の先生にお会いしました。仮にA先生と呼びます。  ベテラン教員のA先生は8年前、うつ病と診断され、現在も通院して投薬治療を受けながら高学年の学級担任をしています。体調がすぐれないときは、職場に迷惑がかからない長期休みに...
ジェンダー

秋田の女性はアクセスできない――「経口中絶薬」承認から考える

「中絶するには、手術でかき出すしかない」。私は長く、そう思い込んでいました。しかしそれは日本国内の話であって、世界では「飲み薬」によって妊娠を終わらせる方法が主流となっており、WHO(世界保健機関)も推奨しているということを最近、知りました...
生活保護の記事

秋田市のミスで生じた「借金」 誰に背負わせるのか 返還求めなかった自治体も 

全国公的扶助研究会が管理運営している「生活保護裁決データベース」の検索画面。誰でもアクセスできる 秋田県秋田市(穂積志市長)が生活保護の障害者加算を28年にわたって誤支給し、対象世帯に過支給分を返すよう求めている問題をめぐり、13日に開かれ...
コラム

女性記者と新聞 Aさんへの返信

Aさま 先日はこちらこそありがとうございました。まとまらない話をしてしまい、申し訳ない気持ちでしたが、自分の経験を見つめ直すことができました。言語化、相対化できず、いまだ悩んでいるような状況ですが、私でよかったらお答えさせていただきます。Q...
生活保護の記事

「生活の苦しさを見てください」 当事者、秋田市の保護課長に訴える

物価がどんどん上がる中、1日1日、必死で生きる生活保護世帯が「資力を有している」わけがない。役所の人たちの感覚は、どこまで苦しい世帯の生活実態から離れているのだろう? そう言いたくなるような受け答えがおよそ30分続いた。「過大に支給した分も...
生活保護の記事

全国でミス多発の「障害者加算」 当事者に「返せ」はおかしい 花園大・吉永教授

秋田県秋田市(穂積志市長)が生活保護の障害者加算を28年にわたって誤支給し、対象世帯に過支給分を返すよう求めている問題は、行政のミスで生じた負担を何ら責任のない当事者に負わせるものだ。一方、秋田市だけでなく盛岡市などでも同様のミスが生じてお...
生活保護の記事

「自分は生きていていいのかな」 生活保護費の過支給 責任は、どこにあるのか 

「自分は生きてていいのかな、と思いました」 生活保護費の障害者加算(生活費のおよそ2割)を削減され、さらに、過去の過支給分の返還も求められると知った当事者の女性が、こう話した。「持病があって、働けなくて、保護っていう形で国や市にお世話になっ...
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